組織の未来をつくるコラム

「中東危機時代を乗り越える経営戦略―仕事再設計×業務再設計と“学習する組織”への転換」

中東情勢の緊張は、単なる地域紛争にとどまらず、日本の中小企業経営にまで確実に影響を及ぼし始めています。仮に早期に収束したとしても、その過程で生じたエネルギー価格の高騰や供給不安は、企業活動の前提条件そのものを揺るがす可能性があります。とりわけ懸念されるのは、石油関連製品の入手困難や価格高騰です。物流コストの上昇、原材料価格の不安定化、電力料金の変動などは、すでに多くの企業で顕在化しています。これまでのように「必要なものは必要なときに手に入る」という前提は崩れつつあり、代替手段の検討はもはや選択肢ではなく必須条件となりました。仕入先の分散、エネルギー使用量の見直し、在庫戦略の再構築、さらには業務そのものを変える発想が求められます。外部環境の不確実性と同時に、内部の認識のズレが経営リスクを増幅させる時代になりつつあります。


ここで重要なのは、単なるコスト削減や節約ではなく、「仕事の構造そのもの」を見直すことです。そこで鍵となるのが、「仕事再設計」と「業務再設計」を同時に進める取り組みです。業務再設計は、業務フローや手順、仕組みを見直すアプローチであり、効率化や標準化、デジタル化を通じて生産性を高めます。一方、仕事再設計は、働く人の役割や意味づけ、関係性に焦点を当て、納得感や主体性を引き出すものです。今までは仕事再設計を進めて働く人の認識の変化や関係性の構築の先に業務再設計・イノベーションを捉えていましたが時間的猶予はなさそうです。今求められているのは、「なぜこの仕事が存在するのか」「誰のための業務なのか」といった本質的な問いから出発し、同時に業務の流れや役割分担を再構築することです。こうした取り組みは、単なる効率化を超えて、企業の競争力そのものを変えていきます。



この変革を持続的なものにするために重要なのが、ダイナミックシステム理論の考え方です。ダイナミックシステム理論は、組織や業務を「常に変化し続けるもの」として捉え、小さな変化や相互作用の積み重ねから全体の変化が生まれると考えます。現状を観察し、繰り返されているパターンを捉え、そこに小さな変化を加える。そして、その結果を再び観察し、次の行動につなげる。このサイクルを回し続けることで、組織は徐々に進化していきます。大企業のように豊富な資源を持たない中小企業は、環境変化に対して迅速に適応する力が求められます。そのためには、現場が主体的に考え、試し、改善する文化が不可欠です。仕事再設計によって人の意識と関係性を変え、業務再設計によって構造を変え、さらにダイナミックシステムの視点で進化し続ける三位一体取り組みが学習する組織への転換であり、これからの経営の基盤になります。


今回の中東危機は、単なる外部環境の変化ではなく、「これまでの前提が通用しなくなる時代」の象徴的な出来事です。資源、物流、人材、すべてが不確実性の中にあります。しかし見方を変えれば、これは企業が自らの在り方を見直し、進化する機会でもあります。これからの中小企業経営に求められるのは、「安定を維持する力」ではなく、「変化し続ける力」です。そのための具体的な一歩が、仕事再設計と業務再設計の同時実践であり、ダイナミックシステム理論に基づく学習する組織への転換です。この場をリードするファシリテーター、対話型リーダーは「成人発達理論」の理解も必要になります。ミーティング進行、「仕事再設計」はシステム思考・U理論で進みプレゼンシングから「業務再設計」はデザイン思考による結晶化・試作品設計の流れが良いと思います。