組織の未来をつくるコラム

これから10年の経営課題の取り組みで未来は変わる

先日、2015年にリクルート研究所が実施した「2025年の働く予測」プロジェクトの報告レポートを目にする機会を得ました。技術や経済等、労働市場以外の様々な分野の有識者に2025年展望をたずね、労働市場の各種データが今後どのように推移するかをシミュレーションしました。1年半に及ぶ調査・検証を取りまとめた「2025年―働くを再発明する時代がやってくる」という報告レポートです。この段階で、2015年、2020年予測の時のような、このようになるであろうという2025年の「働く」を結論づけることができないという結果だったようです。理由は、日本の人口が増加から減少に変化すること。これまで経験したことのないことに、過去の延長で未来を想定すること適切ではないと。


人口減少により雇用機会が喪失するという仮説と人材不足が深刻化するという仮説が成立するため、3つの前提シナリオを基に2025年の労働市場を探索したレポートになっています。シナリオ1は「これまでの延長で起こる未来」。経済活力が停滞、国民の平均所得も減少し、就業構造において女性の就業率は2025年、2015年とほぼ変わらずに推移するとしています。業種別の就業者も2015年から大きく推移との予測。シナリオ2は「悲観的な未来」。個人と組織の均衡が崩れるという概念がもたらす国内経済の衰退と下方圧力。下方圧圧力は、主にグローバル化やテクノロジーの発展という環境変化と人口構造変化の2つによってもたらされるとしています。経済の停滞がもたらす雇用機会の喪失、解雇の増加。失業者の増加など悪循環の発生を危惧しています。



シナリオ3「楽観的な未来」。2025年にかけ衰退傾向に歯止めをかけ、働く人が増え、税制等の社会システムの担い手が増えることで描く反映のシナリオです。人口減少に転じた日本では、雇用機会が創出され、就業者が増加することで消費が活性化し経済活動を生み、経済が活性化する好循環を生み出します。繁栄のシナリオで懸念されているのは、内在するリスク、日本型雇用慣行であった男性・正社員というパラダイムから脱することができない企業多いことです。過去の延長を引きずると楽観的シナリオもまた悲観的な方向にかねないという現実です。これに歯止めをかけるのが、いろいろな価値観や制約を持つ多様な人材が働くことが出来る環境を創り出すことです。これができれば、反映シナリオに内在する人材不足というリスクを克服できます。


働き手のダイバーシティー(多様性)は、過去の延長上で多くの企業で取り組まれていますが、これからの10年は人材の多様性、働き方の多様性を企業の仕組みとして創造していく人材マネジメントが企業の大きな課題になります。超高齢化社会では、新卒者の争奪戦は一層強まり、転職者の採用をいかに高めるかが重要です。発表から8年、2025年は間もなく訪れますが3つのシナリオはそれぞれの是非は別として、国の施策である働き方改革が大きく方向性を変えたと思います。今年1年コンサルタントとして現場に立って思うことは、教育の重要性と様々な課題に企業全体で取り組むことの大事さです。弊オフィスのこれからの10年は、「学習する組織」をより鮮明にして活動していきます。このコラムが今年最後になりますが、良いお年をお迎えください。