組織の未来をつくるコラム

障がい福祉ストレングスモデル

3年ごとに行われる障害福祉サービス等報酬改定の議論も大詰めになってきました。報酬改定は時代の変化に制度を合わせるため定期的な見直しを行っています。今回の報酬改定では多様化する障害福祉ニーズへの対応、事業所経営を圧迫する物価・賃金の上昇や人材確保などの問題、そしてサービス間・制度間の公平性や制度の持続可能性の確保などを背景とした議論がなされています。昨年8月31日に実施された第35回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」では、改定に向け1,「障害者が希望する地域生活を実現する地域づくり」2,「社会の変化等に伴う障害児・障害者のニーズへのきめ細かな対応」3,「持続可能で質の高い障害福祉サービス等の実現のための報酬等の見直し」の主な3つの論点が挙げられました。


現在、障がい者の希望に沿った生活ができるように、障害福祉サービスによる支援を行っています。しかし、地域資源や障害福祉サービスからのサポートが足りないことが原因で、自立した生活を実現できない方も少なくありません。障がい者が希望する地域生活を実現するためには、医療・福祉との連携や地域社会の包括的な支援が必要です。また、近年、障がい者のケアプランのアセスメントでは本人の「強み」や「ポジティブな特性」を見つけ出し、その強みを中心にしてケアプランを築き上げるストレングスモデルが注目を集めています。ネガティブな面に焦点をあててケアプランを立てると、どうしてもその人がもっている「強み」を見逃しまいやすくなります。これが障がい者ケアプランの質を決定的に左右してしまいます。これまで中心だった「医療モデル」にかわってストレングスモデルが正当な考え方になりつつあります。



昨年12月に公表された「障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性について」では、障がい者が希望する地域生活を実現する地域づくりとして、障害者支援施設のすべての入所者に対して、地域移行の意向確認を推奨し、事績に応じて加算で評価される仕組みになりそうです。まさにストレングスモデルへのアセスメントの転換がなされる訳ですが、今現在も不足する地域社会の包括的支援がますます重要になってきます。医療モデルのケア(介護・看護)から自立生活へのリカバリー(復旧)を実現するためには、新たな社会資源の創造が必要になってきます。地域生活支援の機能を充実させるための仕組みつくりや対応する相談支援専門員の育成など事業者は必要な対応を迫られることになります。


弊事務所では、障がい福祉事業者の職員さんたちとストレングスモデルへの転換を図るべくプロジェクト展開でビジネスモデルの構築を支援しています。ストレングスアセスメント票等の各種様式の提案、実施モデル、何よりも重要なのはグループスーパービジョンの開催です。何事も0からの構築で苦しみながらも徐々に形になってきていますが、進めているのはイノベーション創出と感じることが多いです。弊事務所としてはスーパーバイザー、ファシリテーターの育成が最終目標で、自力でグループスーパービジョンが進められ支援者の希望する生活・職業に活かせる社会資源を創出できる人材が育てば支援は終了します。職員さんたちと話し合って訓練プランを作成し毎月継続的な研修を実施することに決めています。