組織の未来をつくるコラム

ギャップ分析とこれからの人財育成

ギャップ分析とは、理想(To Be)と現実(As Is)の間にあるギャップ解消に必要な項目を洗い出す課題抽出方法のことです。ビジネスでは一般的に「現在の業績と理想の業績の比較」「商品イメージに対する理想と現実の比較」など理想と現実との比較においての原因や課題などの抽出に活用されます。また、経営戦略の見直しやマーケティング活動の改善など企業の課題解決やプロジェクト管理などでも活用されます。ギャップ分析を活用すると目標に辿りつくための指針ができ、どのような戦略が必要なのか把握できます。また課題の優先順位も設定しやすくなります。また、日常業務の課題を洗い出すためにも活用できますので、私はOJTやMBOでの活用を推奨しています。


ギャップ分析を実施する際は、まず理想のあるべき姿から考えます。設定した理想に近づけるためには、理想の状態を目標設定できるように数値化する必要があります。現状の業績や状況を把握し、基準として設定します。理想とする売上目標金額を設定した場合は、現在の売上を基準として設定します。また、売上に関わる「営業担当の人数推移」「クレーム件数の変化」などの情報も集計しておきます。設定した理想の状態と洗い出した現状の状態を比較し、ギャップ解消のために必要な課題を抽出して、実現可能な課題に落とし込んでいきます。洗い出した課題を元に、解決策を導き出し効果の高い施策を選定します。施策を決定したら「必要な準備時間」「改善に要する期間」を明確にし、計画表を作成します。



ギャップ分析の実施方法を見た時、何かに似ていると思われる人もいると思います。ギャップ分析から施策決定、実施計画書の作成から実施まで、当オフィスのコンサルタントを受けている企業の皆さんはMBO(目標管理制度)のPDCAサイクル手順と同じかと考えるかもしれません。また、福祉職員キャリアパス研修の受講を経験している職員の皆さんは、SDCAサイクルの職務能力の開発手順と同じと考えるかもしれません。前者は、目標と実績のギャップを計測し、次期計画の修正を行い、後者は、業務標準と現在の業務遂行能力のギャップを分析して次期のOJT計画を作成します。ギャップ分析を活用すると目標に辿りつくための評価ができ、どのような戦略が必要なのか把握できます。


今後、企業が収益力を高め、持続的に価値を生み出しながら、長期的な投資からリターンを得る仕組みが求められています。経営戦略と人事戦略の連動させることで企業価値の持続的向上を図る取り組みのひとつが企業におけるギャップ分析だと考えます。また、人財の確保・育成、イノベーションを生み出す環境の整備など、人に対する投資がますます重要になっていきます。人を育てるには、実践での経営戦略の見直しやマーケティング活動の改善や業務改善など従業員が一緒になって取り組む会議の仕組みが必要だと考えます。様々な経営課題を従業員がプロジェクト展開しながら、ギャップ分析から施策を選定していく会議の仕組み。継続的学習の基盤があれば、経営者の皆さんが思っている以上、従業員の皆さんは優秀です。