国際情勢・賃上げ圧力・政治不安の時代に、地方中小企業が取るべき行動
帝国データバンクは1月16日、2026年の注目キーワードについて尋ねた、企業アンケート結果を発表しました。台湾問題や日中関係、対中依存などの「チャイナリスク」をあげた企業の割合が74.8%でトップとなりました。海外取引の有無にかかわらず多くの企業が地政学リスクを強く意識していることが分かる。また「円安インフレ」(58.6%)、「賃上げ圧力」(49.2%)が続き、国際情勢とコスト増が同時進行で経営を圧迫する構図が鮮明になっていることが窺えます。地方の零細・中小企業にとって重要なのは、「影響を受けるかどうか」ではなく、「どのように影響を受けるか」を自社なりに具体化することだと思います。2026年を取り巻く環境は不確実性が「常態」となる時代のようです。
中国依存のサプライチェーン、米国の保護主義的政策による為替・関税影響、これらは遠い世界の話ではなく、原材料価格、物流費、設備投資判断に直結する問題となっています。チャイナリスクは台湾問題や日中関係悪化にとどまらず、調達の不安定化・価格変動・納期遅延として表面化する可能性が高いようです。実際、調査でも「中国による輸出規制対象の拡大により、調達構造の変革が必要」といった声が挙がっています。調査では約半数の企業が「賃上げ圧力」を2026年の注目キーワードとして挙げています。特に運輸・倉庫業では64.2%と全体を大きく上回っており、人手不足と制度対応が直撃している結果のようです。多くの経営者が感じている通り、「賃上げしたくない」のではなく、「原資がない」というのが実態です。
ここで重要なのは、賃上げをコスト問題としてのみ捉えないことです。人時生産性(時間あたりの付加価値)を向上させ、仕事の再設計によるムダの削減を行い、属人化の解消と業務の標準化を進めることが重要です。これらを通じて、賃上げを「結果」として生み出す「構造づくり」が求められます。賃上げ単体の議論は、2026年には限界に達します。少数与党、解散、政策の不透明感など、政治の混乱も企業経営に影を落としています。しかし、中小企業にとって重要なのは「政治を読む」ことよりも、「政治に振り回されない体制」をつくることです。具体的には、補助金・支援策への過度な依存を避ける。法改正リスクを前提にした労務管理といった自立型経営へのシフトが重要になります。
2026年に求められる経営者のパラダイムは、「安定を前提にした最適化」から「揺らぎを前提にした適応」への転換です。環境変化を嘆くのではなく、前提として受け入れる。経営者自身の意思決定の軸を明確にすることや現場とともに学び、また変わり続ける。といった「学習する経営」が不可欠となります。これは大企業向けの話ではなく、意思決定が速い中小企業こそ優位に立てる領域です。2026年は、国際情勢、賃上げ圧力、政治不安が同時に企業を揺さぶる年となります。しかし、それは一部の企業だけの問題ではなく、すべての地方中小企業が直面する共通課題です。だからこそ、環境変化を嘆くのではなく、前提として受け入れる。経営者自身の意思決定の軸を明確にする。現場とともに学び、変わり続ける。この姿勢こそが、2026年を乗り切る最大の経営資源となります。厳しい時代だからこそ、経営の本質が問われています。


