規模ではなく「人が育つ企業」が選ばれる時代へ ~採用難の時代に地方の中小企業が進むべき道~
2026年6月、日本政策金融公庫総合研究所が公表した「中小企業における従業員の採用・定着に関する調査」は、多くの地方中小企業経営者にとって見過ごせない内容でした。
調査では、新卒採用では約4割、中途採用でも約3割の企業が採用予定人数を確保できていませんでした。
また、人材確保のために最も多く行われている施策は「初任給の引き上げ」、定着施策では「基本給や賞与の引き上げ」が圧倒的に多くなっています。
つまり、多くの企業が賃上げによって人材を確保しようとしているという現実があります。
しかし、地方の中小企業にとって、この流れは非常に厳しいものです。
「賃金を上げたい。しかし、その原資がない。」
そう感じている経営者は決して少なくないでしょう。
私は、この調査結果を見ながら一つのことを強く感じました。
これからの採用競争は、規模の競争ではなく、人が育つ企業かどうかの競争になる。
地方の中小企業が同じ土俵で戦えば、どうしても不利になります。
敢えて、勝負する場所を変えなければなりません。
終身雇用が当たり前ではなくなった今、一つの会社に長く勤めることに価値を求めません。
どこでも通用する力を身につけたい。
「この会社で自分は成長できるのか。」
「将来に役立つ力を身につけられるのか。」
そんな視点で会社を見る人が増えています。
近年、若者に注目されている言葉に「ポータブルスキル」があります。
2025年卒学生への(株)学情が行った就職意識調査では、学生の8割が「ポータブルスキル」の習得を重視している結果が出ています。
ポータブルスキルは、「問題を発見する力」「改善する力」など会社や業界が変わっても通用する能力のことです。
若い世代が求めているのは、このような成長です。
時代が変わり、求人募集も、「何をしてもらうか」ではなく、「何が身につく会社なのか」を伝えることが重要になります。
では、人が育つ会社とはどのような会社でしょうか。
それは、
仕事を改善する場があること。
仕事を改善する過程そのものが、人材育成になっているのです。
ここで育つのは知識だけではありません。
「自ら考える力。」「相手の意見を聴く力。」「全体を見る力。」こうしたポータブルスキルが自然と身についていきます。
私は、これからの地方中小企業は「規模の大きな企業」を目指すのではなく、「人が育つ企業」を目指すべきだと考えています。
その会社で働くことが、一人の人生を豊かにし、地域を支え、企業を持続的に成長させる。
そんな企業が地方に増えることこそ、日本の未来につながるのではないでしょうか。
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