職場の飲み会に関する現状と今後の社内コミュニケーションのあり方
近年、「会社の忘年会に行きたくない」若手が増えているそうです。「時間外労働」「残業代が出ない」「気遣いが面倒」…など、様々な声が聞かれます。リクルートの外食市場に関する調査・研究機関で首都圏・関西圏・東海圏で職場の飲み会に対する期待と参加実態等についてアンケートを実施しこのほど公表しました。それによりますと、飲み会の実施率は大幅減少(2017年75% → 2025年60%)していますが、開催された飲み会においての出席率は一定水準を維持しています(87.9%)。「普段会話しない人と話せる」と言ったポジティブなイメージを持たれる人がいる反面、「気を使ってくつろげない」(36.3%)、「ストレスがたまる」(29.2%)など若年層・女性・非正規雇用層で特にネガティブ傾向が上昇気味です。
「プライベート重視」「強制されない自由な関係性」を望む若年層が増加するなどの価値観の多様化や特に20〜50代女性は飲み会に対する心理的ハードルが高いようです。派遣・パートなど非正規雇用者の増加など雇用形態の変化により職場の結束力が相対的に希薄化していることも考えられます。また、コロナ禍以降のオンライン業務の浸透など職場文化の変容により物理的・心理的な「集まり」の文化が希薄になっているのでは?とも推測されます。前述のポジティブなイメージ「普段会話しない人と話せる」といった部署を越えた交流ができることもメリットのひとつかも知れません。職場の雰囲気が和らぐとかチームの結束感が高まるとの意見もありますが、社内コミュニケーションを飲みニケーションに頼ることに違和感を持つ方もいます。
そういう方の意見として「強制参加の空気感によるストレス」を感じるとか、酒に酔った場での「ハラスメントリスクの存在」それにより嫌な思いをするのでは感じてしまうのもやむを得ないことだと思います。自由参加とはいっても社内の雰囲気がそうならずに、プライベート時間を侵害される気持ちや、健康や経済的負担に違和感を持つ方もおられると思います。一方、参加者の中には「個人では行けないような店、料理を味わう」ことを楽しみにする方も多いので、会場選定をアンケートで行うことで公平性確保、経費の一部会社負担など参加しやすい飲み会再設計が必要かもしれません。当然、任意参加・短時間・ノンアルコールも可などの自由度の高いルールにしてはいかがでしょう。
飲み会に代わるコミュニケーション施策としては、部署を越えたメンバーで昼食を共にし、会話促進を目的としたシャッフルランチや月1回、部門横断での「雑談+情報共有」タイムの手段として「スタンディングミーティング+お菓子タイム」もお勧めです。特にお勧めは「ワークショップ型社内イベント」問題解決、価値観共有、ブレインストーミングなどを通じて組織内の関係性再構築。飲み会はかつてのような万能な社内コミュニケーション手段ではなくなりつつあります。企業文化に合わせて、「場」の選択肢を多様化し、誰もが安心して交流できる風土づくりが求められています。経営陣の皆様には、飲み会を単なる慣習とせず、他の手段を含めた「心理的安全性」と「対話」を軸にした組織づくりへと再構築を進めていただきたいと思います。