組織の未来をつくるコラム

2つのイノベーション

2つのイノベーションと言えば、既存の商品やサービスの売上と利益拡大を目的とする一般的なアプローチである存続的イノベーションと現在の古い考えを破壊し「新たな価値を創出する」破滅的イノベーションの考え方が一般的です。存続的イノベーションと破滅的イノベーションとの間で起こるイノベーションのジレンマ、既存の価値基準にこだわりすぎてイノベーションへの対応に遅れれば、企業は市場で生き残ることができません。イノベーションの切り口は様々ですが、2030年までの賃金上昇を見据えた取り組みが中小企業では必要となっている時代です。現在の収益を確保するイノベーションと将来の収益を意識したイノベーションの取り組みの二つが必要です。また、企業の理念・パーパス・社会的使命などから目指すビジョンを明確にすることがイノベーションの要件です。


イノベーションという言葉の定義はモノや組織、サービス、ビジネスモデルなど新たな考え方や技術を取り入れることで、新たな価値を創出することを指します。現在の収益構造を見直し業務改善のためのアプリ導入など情報共有化に向けた動きなどはイノベーションを生み出すきっかけになります。秋の最低賃金の議論が始まり聞こえてくるところでは全国加重平均1,100円の話が出ているようです。これまであまり意識してこなかった時間当たりの生産性向上に向けた取り組みが賃上げの原資を生み出します。このコラムでも取り上げています「従業員全員での粗利益高÷総労働時間」で算出される「人時生産性」、この数値が高いほど従業員一人あたりの粗利益率が高いと言えます。総労働時間数が減少にむけた「時短」が粗利(キャシュ・イン・フロー)を生みます。



現在の業務価値を高める取り組みには、業務管理者と若手を中心としたプロジェクトで展開していくのが良いようです。新たな考え方として「システム思考」による意識の変革、内省のイノベーション創出があります。U理論に基づく定期的なミーティングとアクションプラン、進捗のどこかで閃きが起きイノベーションへと向かいます。また、将来の収益を生み出すイノベーションの取り組みには、将来の企業ビジョン到達からのメッセージを受けとるため経験を積んだベテラン層を中心としたプロジェクトで進めるのが良いようです。戦略的展望にたった組織変革を行うことになるので経営側も参加した方が、アクションプランの意思決定が早くスムーズです。将来に向けたイノベーション創出には、「システム思考」と「デザイン思考」の融合がカギになると思います。


地方の企業では人材が育っていませんが研修よりも実践で知識・スキルを向上させるのが効果的です。アクションプランの決定・実行・モニタリングを繰り返すことで数か月後には、個人・組織に変化が起き、イノベーションの種が見つかります。そのイノベーションの種を結晶化(目に見える化)させ、プロトタイプ(試作)を繰り返すことで完成に向かいます。プロジェクト・ミーティングには生成AIの活躍は欠かせません。課題の抽出、ミーティング・プログラムの作成、時として専門家のロールとして意見を述べてもらうこともあります。対話重視のミーティングにはファシリテータのスキルが必要になりますが、その教育プログラムも作成してくれます。変化が激しい時代、AIを活用しながらイノベーション創出の取り組みをされてはい
かがでしょうか?