組織の未来をつくるコラム

対話型リーダー育成について

今年に入って企業からの依頼で管理職育成の取り組みを本格的に始めています。課題解決や業務改善ミーティングでは、対話型リーダーの必要性や進め方のついての話をしてきましたが、様々な課題が顕在化して企業内部に解決できるリーダーが必要になってきたためと思います。対話型リーダーは、対話を通じてメンバー相互の理解を深化させ役職や部署を超えた率直な意見交換により新しいアイディアや解決策を生む出すコミュニケーションの使い手です。同時に企業内部に存在する解決すべき課題の原因をつきとめ解決の方向性を示さなければなりません。そこから現状についての考察、問題となっている状況についてあらゆる方向から積極的に関わり、メンバー間の対話により解決可能性のあるアクションプランを決定しなければなりません。


継続的にアクションプランを実行しながらモニタリング、次のアクションプランと進めていくと個人も組織も変わっていきます。自己の執着や過去の思い込みから離れ、相手の視点や大局的な視点から物事を見ることで、新しい感覚や気づきを得るプロセスに入ります。雑念を取り払い、本来の自分や自分の役割に気づき、未来を夢見る状態に対話型リーダーは導かなければなりません。単なる思考や感情を超えた、より深いレベルでの気づきや変容を促すプロセスで、課題解決や業務改善はこのフェーズで解決できることが多いです。現在、多くの企業に求められているのがイノベーションの創出ですが、そこにたどり着くにはその先のフェーズに進まなければなりません。



対話型リーダーは、日常や今までのものの見方や枠組みで行き詰まっている際に、大局、全体像、根本を見いだせるように飽くなき観察を通じてシステム的な洞察を得て、新しい視点や知識を創造していきます。そのためものの見方(パラダイム)を新しいパラダイムへ変えていかなければなりません。身につけなければならない能力は、ダイバーシティー(多様性)とインクルージョン(包摂)がキーワードです。しかし、今まで培われた個人や組織の思考の習慣、慣行などを棄却して学ぶことは一朝一夕にはいきません。課題解決や業務改善など身近に存在する課題への実践的な取り組みこそ対話型リーダーを育成する最もて適した手段です。


今年の最低賃金の議論が始まっていますが、過去最大だった昨年の金額を上回ることは確実です。
賃金上昇の原資を確保するのには、時間当たりの労働投入量を減少させ「人時生産の向上」以外に確実な方法はないと思っています。そのためには徹底的に業務の見直しを行い、投入労働者を少なくするか労働時間の短縮を目指す、あるいは同時に行う施策を決定・実行していく取り組みに対話型リーダー育成を兼ねて行ったらいかがでしょう。このコラムは「システム思考」という考え方を基に書いていますが、弊事務所の実際の支援も同様のプロセスで行っていますので参考とされてはいかがでしょうか?


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