組織の未来をつくるコラム

組織が変われば・・・人は集まります。

高齢化に伴う人口の減少により、多くの企業が人材不足に陥るほか、人材獲得競争の激化や人件費の高騰など、さまざまな問題に直面すると考えられている「2030年問題」の年まであと5年。日本を取り巻く環境は決して良好とは言えませんが、2030年問題に関してはすべての企業が自分ごとと捉え、対応を考えていく必要があります。従来の雇用慣行であるメンバーシップ型からジョブ型移行が叫ばれて久しいですが、地方の中小企業ではまだまだ仕事区分の人事制度の構築に至らない組織が多いようです。新卒者採用から中途採用がほとんどの現状で仕事区分での配置・給与体系を示さないまま求人募集を行っても面接まで至らないことが多いのではないかと思います。経験による給与範囲を示し期待する職務遂行力が伝わればほとんど面接まではこぎつけます。


求人募集に昇給昇格の仕組みを含めた給与体系のアピールは必要です。求職者は業界の経験年数から自分の希望にあった給与を支払ってくれる会社を選択します。50人以下の企業であれば「初任者」「現場管理」「組織管理」「法人管理」の4区分でほとんどの場合、運用が可能です。〇〇年、業界の経験がある求職者が、ハローワーク等の求人募集にふれて「初任者」「現場管理者」の給与の範囲を見れば上位区分の給与も予測ができ昇給昇格の期待が膨らみます。仕事基準の賃金テーブルが当たり前の時代にシングルレートの給与基準では難しいのでは?働き方改革といわれる時代に考えなければならないのが人事制度の変更、多様な人財を受け入れる制度へ・・・会社が変われば人が集まります。



20代、30代の転職者にはまったく考え方が違います。この世代の向上心の強い求職者は、問題解決力やコミュニケーション能力といった自分自身の持ち運べる能力を学べる会社が選択肢です。職業能力の構成として三角形の底辺に仕事の姿勢であるスタンス「マインドセット」、その上に問題解決力やコミュニケーション能力などの「ポータブルスキル」、一番上部に仕事の通じる専門性である「テクニカルスキル」、重要なのが「マインドセット」「ポータブルスキル」です。マインドセットとポータブルスキルがしっかりしていれば、仕事は何でもできると気づいています。優秀な人財ですが。3~5年で辞めていきます。これからの組織は、長期雇用者にはインセンティブを与えながら優秀な人財を呼び込む「学習する組織」へと変わっていかなければ生き残れないと思います。


「学習する組織」とは、変化の激しい時代にシステム思考を基礎に、従業員一人ひとりとチームとが問題解決に取り組み、革新的な解決法をつくり出す能力を伸ばし続ける組織のことです。課題解決という実践的な取り組み(プロジェクト・チーム)の中で、経験を積み上げながら解決法を探し出しアクションプランと実践、プロトタイプを作り直しながら完成品とする経験は研修では得られない学習です。経営と人事の紐づけが重要な時代(伊藤版人材レポート)、トップダウンから現場視点のボトムアップの組織への転換、会社が変われば人が集まります。入職から退職までの閉鎖的な組織から、多様な人財、入退職者の多くから選ばれる開放的な組織への転換の時代です。