ミドル・シニア世代のセカンドキャリアに関する意識
日本の高齢者の就業率は上昇傾向にあり、2023年には15歳以上の総就業者に占める高齢者の割合が13.6%と過去最高を記録しました。特に65〜69歳では52.0%、70〜74歳でも33.9%と高い就業率が示されており、60歳以上の9割が「働けるうちは働きたい」と意欲を示しています。内訳を見ると男性の就業率が高く、65~69歳男性の6割以上が就業しています。高齢者の就業率が高い主な理由は、生活費の補填を目的とした「経済的理由」が最も多いようですが、「健康維持や社会参加」「働くことへの生きがい」といった理由も重要なポイントです。また2021年4月より、企業の努力義務として70歳までの就業機会の確保が定められたことで、企業が高齢者の継続雇用を支援する環境が整備されたことも理由のひとつです。
産業雇用安定センターは9月2日、60歳定年・65歳までの継続雇用制度がある大企業に勤務する45~59歳を対象に実施した「セカンドキャリアに関する意識調査」結果を発表しました。今後の働き方のイメージについては、「まだ決めていない」が31%で最多です。それを除く回答全体の中では、「定年前・定年時に転職したい者と定年後同じ会社で雇用延長しそのあと転職したい者を合わせた数」、「定年を機に働くのをやめたい者、定年後同じ会社で雇用延長しそこで働くのをやめたい者」が、それぞれ3割で同率となっています。定年前・定年時に転職を希望する者の動機は、「これまでと違う新しい仕事に取り組みたい」(34%)と「スキル・経験を他社または独立で生かして活躍したい」(26%)が合わせて6割となっています。
少子高齢化による労働人口減少が進む中で、多くの中小企業は人材不足を補うために高齢者の雇用を積極的に進めています。この調査では、約3割の人が「定年前」「定年時」「雇用延長後」に転職を希望しています。その中で「新しい仕事に取り組みたい」「スキル・経験を活かしたい」(約6割)という挑戦志向派。現在の会社での役職定年による処遇低下や希望しない仕事を回避したい(約3割)待遇面の不安による動機によるようです。自分の知識・経験を必要とする中小企業があれば挑戦したい」と考える層も約4割存在します。転職を希望する人の受け入れのための準備として、経験・専門性を活かせるポジション(経営企画、人材育成、営業戦略、品質管理など)を明確化した業務設計が必要です。
収入で許容できるのは「10~30%減」が最多(31%)、次いで「現状維持」(21%)。「30~50%減」や「50%以上減」も合わせると約3割となっています。大手時代の給与を完全に維持する必要はありませんが、減収幅を抑え、納得感ある処遇説明が必須になってきます。「事務補助・軽作業・地域貢献的な仕事」を希望する人も一定数いるので、多様な役割設計が必要になると同時に副業・兼業も認め地方で働く魅力を拡げるのも対応策。定年後の何年かを地方の企業で、アドバイザー的役割(若手指導、経営改善提案)と、実務的役割(専門分野での即戦力)の両輪で働いてもらえれば地方にとってもプラスです。「セカンドキャリアでの成功体験」を積めるプロジェクト参画機会を提供するのもあり。福島県の魅力をアピールするのも大事かと思います。