ウェルビーイング経営を基盤とした「自己成長×他者貢献」型組織開発
近年、「ウェルビーイング」という概念が企業経営の新たな潮流として急速に浸透しています。2025年の「はたらく人ウェルビーイング実態調査」では、就業者の認知度が27.1%に達し、「健康経営」「人的資本経営」を上回る水準になりました。しかしその一方で「働くことを通じて幸せを感じる」人は40.8%にとどまり、2020年から3ポイント低下しています。このギャップはウェルビーイングが理念として語られる一方で、日常業務や組織マネジメントの中に実装されない現状を示しています。特に「自己成長」「他者貢献」といった本質的な幸福因子が低下傾向にあることは、組織活力の低下とイノベーション力の停滞を示唆するものと思われます。
ウェルビーイングは「快適さ」や「ストレスの少なさ」を意味するだけでなく「自分の仕事に満足し、社会とのつながり、成長や貢献を実感できる状態」を指すものという捉え方もあります。調査では幸福度に影響する因子として「リフレッシュ(休息)を最も重要と答えた就業者が26.8%に達しましたが、実際に幸福感と強く相関するのは「他者貢献因子」「自己成長因子」です。調査では「理念より体験が重要」であることが強調されています。幸福感を感じる経験が「幸せを重視する価値観」を育み、それが再び工夫・改善行動(クラフティング)を促すという循環構造が確認されています。単なるメッセージ発信ではなく、仕事を通じて喜びや達成感の得られる体験設計が不可欠であるとされています。
調査では「幸せを感じる体験」こそが「ウェルビーイングを重視する価値観」を育て、それが再び行動を生むという好循環が確認されました。この循環構造を、従業員同士の関係性再構築の場、組織開発に応用するには理念浸透ではなく体験設計がカギとなります。「体験→価値観醸成→行動→再体験」のプロセスを業務改善活動として組み込むことで、職場全体に自己成長と貢献の文化を根付かせることができます。個人レベルでは、日常業務での学びや気づきを可視化するリフレクションシートの活用なども考えられます。他部署・多職種のメンバーとの協働機会を設け、成果共有会の実施、「誰にどんな価値を提供できたか」を振り返り「他者貢献」を確認するのも良いかもしれません。
企業がこれから直面する課題は「働きがいと生産性の両立」です。そのカギは「自己成長」と「他者貢献」にあります。「業務改善のテーマ」を生産性向上だけではなく働く喜びの再設計と位置づけ、改善活動に参加した従業員の成功体験をストーリー化して、イントラや全体会議で発信。価値観醸成とナレッジ循環を同時にすすめることができます。体験循環型の組織開発は、単なる制度導入ではなく「ひとり一人の内発動機をエネルギーに変える仕組みと捉えていただければ。今こそ企業は、「業務改善=働く幸せのデザイン」と捉えなおして、従業員とともにウェルビーイングを「自らつくり出す文化」を築くときと思います。


