仕事の前提が変わった~人口減少時代に再設計すべき「仕事の構造」~
「現場はこれまで以上に頑張っている。それでも利益が残らない」
人口減少・地政学リスク・最低賃金上昇という三重の構造変化に、中小企業はどう向き合うべきか。
Ⅰ ビジネスの前提条件はすでに変わっている
日本企業はいま、人口減少による労働力不足、地政学リスクによるコスト上昇、最低賃金の継続的な引き上げという三重の構造変化に直面しています。これらの出来事は、すべて一企業ではコントロールできない「外部環境(地政学・マクロ経済)の激変」です。今起きていることは「一時的な不況」ではなく「ビジネスの前提条件がアップデート」されたと捉える必要があります。これまで「当たり前」だった仕事構造のままでは、どれだけ現場が努力を重ねても成果(利益)がでないスパイラルに陥ってしまいます。かつての日本企業の強みであった「安くて質の高いものを、豊富な労働力と現場の創意工夫で提供する」というモデルは。完全に限界を迎えています。
Ⅱ 従来型の仕事構造が限界を迎えた理由
この厳しい時代を勝ち抜くための仕事構造の抱える問題点を整理します。従来の「人を増やして売り上げを作る」モデルは労働供給制約のため破綻状態にあります。これまでは、受注が増えれば人を採用して対応することが出来ましたが、生産年齢人口の急減(2030年までに600万人減少予測)により、そもそも「採用市場に人がいない」状態です。「需要があるのに受注ができない」という制約が全国で顕在化しています。「労働供給制約」は政府も重要課題といて明記しています。人手不足を理由に事業縮小を余儀なくされる「黒字廃業」リスクが現実味を帯びています。
「耐え忍べば価格は元に戻る」という誤認は高コストの常態化を招きます。地政学リスクに伴うエネルギーや原材料価格の高騰を「一時的なコストアップ」と捉え、身を削って価格を据え置く戦略は自死を意味します。すでに「高コスト・高インフレ」はこれからのスタンダード(新常態)です。最低賃金の上昇により人件費が増加しているにも関わらず、価格転嫁が進まなければ利益が圧迫されます。サプライチェーンの不確実性も増し、外部環境の変化に耐えられない構造に問題があります。
Ⅵ真の仕事再設計は「対話」から始まる
人口減少やコスト上昇という三重の構造変化を乗り越え、持続可能な成長を果たすのには、従来の仕事構造や業務そのものの再設計が不可欠です。また、経営陣に今求められているのは「やらない業務を決める(業務の選択と集中)」こと、そして「ビジネスモデルそのものを高付加価値・高単価なものへ再設計する」という、いわば退路を断った意思決定です。
人口減少は止められません。
地政学リスクも私たちにはコントロールできません。
最低賃金も企業が決まられるものではありません。
しかし、「仕事の構造」は自社で変えることが出来ます。
これからの企業の競争力を左右するのは、人を増やすことではなく、一人ひとり力を最大限に発揮できる仕事の仕組みをつくることです。仕事再設計とは、単なる業務改善ではありません。それは、人財育成、組織開発、そして企業の未来を創る経営そのものです。だからこそ真の変革は経営陣だけでなく、現場で働く皆さんの声、協力があってこそ実現します。
そこで、これからの働き方や業務のあり方を共に考える対話の場を新設する。一人ひとりの気づきやアイディアを重ね合わせ、一緒により良い未来を築いていくことが理想だと私は考えます。
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