「最低賃金に関する調査レポート(2025年)」に見る3つのギャップ
株式会社マイナビ「最低賃金に関する調査レポート(2025年)」は、全国のアルバイト就業者およびアルバイトを雇用する企業を対象に、最低賃金改定の影響や今後の見通しを明らかにしました。(9/1~9/8全国改定決定前、全国平均額目安63円)個人調査では、全国平均時給は1,166円で、理想時給との差は161円。約6割が2024年度の改定で自らの時給が向上したと答え、約8割が私生活の豊かさ、7割超が仕事意欲の向上を感じました。2025年度の引き上げ目安(全国平均+63円)に対しても、6~7割が「希望時給の実現」や「生活の向上」を期待しており、「全国平均1500円」への期待も約7割に達しています。一方、地域格差を感じる人は7割超で、特に東北や九州では8割近くが格差を実感。近隣高時給地域で働きたい人は4割超、実際に越境経験のある人は約18%でした。企業調査では、適正な全国平均最低賃金を「1,121円」とする回答が多く、約7割が2024年度改定を「雇用の負担」と回答。44%が賃上げを実施し、約4割が2025年度も賃上げ予定としています。しかし、人員見直しや採用抑制などの対応も一定数あり、特に中小企業では影響が顕著です。適正な単年度引き上げ額は「50円まで」が最多(24.3%)で、過度な上昇には慎重姿勢が見られます。全体として、労働者は賃金上昇に前向きな期待を持ちながらも、地域格差と企業負担の構造的課題が依然として残っており、持続的な賃上げのためには生産性向上や雇用制度の見直しが急務といえます