「静かな退職」(Quiet Quitting)への企業的対策について
静かな退職とは、仕事に全力投球するのを止め、必要最低限の業務をこなす働き方のことで、退職・転職するつもりはないが、積極的に仕事に意義を見出さない状態を指します。アメリカのキャリアコーチ、ブライアン・クリークがこの言葉を説明する動画を公開したことがきっかけで広がり、現在では若者中心に働き方のトレンドとして日本でも認知されています。少子高齢による労働人口減少や新しい資本主義構想に伴い、生産性向上への意識が高まる中、静かな退職という働き方は企業にとって逆風となる可能性があります。この度。エン・ジャパン(株)では「静かな退職実態」実施、アンケート調査の結果を公表しました。
「静かな退職という言葉をご存じですか?」の問いに、「知っている」(52%)、「内容を含め知っている」(31%)、「名称だけ知っている」(21%)という結果を見ると、広く知られる状態にあるようです。「静かな退職」状態の社員がいるかの質問には、5社に1社(20%)が「いる」と回答しました。300名以上の会社では90%以上が「いる」もしくは「いる可能性がある」と回答しており、企業規模が大きいほど「静かな退職」状態の社員の存在を認識している割合が高いようです。静かな退職状態の可能性が最も高いのが、役職についていない「一般社員」、職種別では「バックオフィス職」とい結果が得られました。
静かな退職状態になっている年代層は、30代45%、40代48%、50代47%となっていますが、20代は割と少なく32%という結果でした。実践者の多くは役職を持たない一般社員であることから推測すると職場への影響は少ないと考える傾向があるのかも知れません。また、そのことが積極的に仕事に向き合う社員や今後の活躍を期待される中間管理職に与える影響を客観的に把握できていない可能性があります。今年の発表された別の調査結果では「収入が増えないかもしれない」「仕事のスキルがあがらないかもしれない」に不安(30~40%)を感じるようですが「職場で孤立してしまうかも知れない」不安は5.4%と職場での孤立は不安と思わないようです。
企業の対策は組織の関係性強化の手段として、業務改善など「何を良くしたいのか」テーマに静かな退職実者を含め主体性を活かす場の創出などが効果的です。基本方針として「静かな退職の兆候の可視化」と「対話の活性化」を両輪として進めるのが効果的です。指摘にならないように「他人事」から「自分事」への意識の転換、本人の気づきを自然に喚起できれば。プロジェクトは誰でも意見を出せる対話の場として主体性を活かす場として創出。改善策の実行と振り返り、小さな成果を称賛し改善プロセスを企業文化へつなげれば「静かな退職」から抜け出せるかもしれません。