ミドル採用拡大に伴う中小企業の社内対策
先日、お知らせした「2026年ミドルの求人動向」調査の結果によれば、転職コンサルタントの81%が、2026年はミドル世代対象の求人が「増加する」と予測しています。またミドル求人が増加する理由トップは「若手人材の不足による採用人材の年齢幅拡大」でした。若手人口の減少、40代前後の管理職不足、技術継承の遅れなどが背景となっているようです。企業は経験豊富な40代前後半、課長級の即戦力を主なターゲットとせざるを得ない事情と同時にミドル人材の定着や活躍が難しいという声も調査から見えてきます。経団連「労働移動の積極的な推進」実現に向けたアクションプランは労働移動を円滑にし、生産性を上げる仕組みの転換を求めています。国内の企業に迫る中途採用・ミドル人材の受け入れ体制強化は2026年の課題になりそうです。
採用方法も通年採用・経験者採用の拡大など年齢にこだわらない柔軟な採用の仕組みが求められます。職場環境としては、ミドル層は育児・介護・健康課題を抱えるケースが多く、柔軟な働き方やライフイベントを前提とした復職しやすい環境がないと採用競争で負けるおそれがあります。ミドル人材は「その企業でどう成長し活躍できるかを最も気にするため、キャリア制度が曖昧なままでは定着しません。人事異動・配置転換、社内公募、FA制度などにより、社員が柔軟にキャリア形成できる仕組みが重視されます。リスキリング・スキルアップ支援策も必要です。ミドル採用においても「学び直し」と「スキル更新」は必須であり、企業側の制度整備が求められます。中小企業にとってミドル採用のメリットは、即戦力としての専門性・業務遂行力です。そのための受け入れ体制の強化です。
その他のメリットとして、40代前半〜課長級のミドルはマネジメントに長け「プレイングマネジャー」として機能しやすいことがあります。採用・育成に時間をかけられない中小企業では、若手だけでは埋まらない中層の空洞を埋める非常に価値が高い人財です。デメリットとしては、ミドルは業務遂行力がある分、初年度から高い報酬を求めがちで給与レンジが若手と合わず、内部の不公平感が生じるおそれがあります。企業文化への適応に時間がかかるようです。「前職ではこうだった」が発生しやすく、既存社員と摩擦が生じるおそれがあります。また、調査ではスキルの陳腐化・最新技術へのキャッチアップ不足で不採用が増えているという声があるようです。一方、ミドル採用が減少すると回答した理由にも「採用⇒定着⇒活躍があまり成功していない」(11%)が挙がっています。
中小企業が社内で準備すべき“5つの必須改革として、1,ジョブ定義(役割と成果の見える化)、ミドル採用の最大の争点は「成果責任の曖昧さ」です。2,オンボーディング(受け入れプロセスの設計)、ミドル採用は新卒以上に「最初の90日」が決定的になります。3,マネジメント層の「ミドル活用スキル」の強化、ミドルをうまく活用できないのは、企業側の「受け入れマネジメント」が弱いことが多い傾向にあるます。4,柔軟な働き方制度、ミドル層は育児・介護が多く、フルタイム前提の企業は採用競争で不利になります。5,リスキリング支援と学び直しの仕組み、ミドル人材のスキルは「高い専門性」と「継続学習の姿勢」がセットで求められます。2026年以降、若手採用はさらに困難となり、ミドル採用は中小企業の生存戦略として不可避となります。しかし、ミドルは経験豊富な一方で、「受け入れ体制が弱い企業では失敗する」リスクが高い傾向にあります。


